福岡高等裁判所 昭和28年(う)732号 判決
被告人 今村武男
(前略)
しかし、原判決が挙示する証拠を綜合すると、判示事実を認めるに足り論旨のうち、被告人は判示娼婦宿を営んでいたものでなく、森野シズ子の該営業を偶々一時手伝つていたに過ぎないとの点については、判示娼婦宿を営んでいた家屋は、被告人において建築し、その内妻森野シズ子をこれに居住させ、同人名義で営業をしていたが、実質的には被告人の経営に係るものと認められないことはなく、また娼婦宿を営むものである限り、Yとの間に雇傭関係は存在しないとの点については原審は両者の間に部屋代、食費の形式で取り極めがなされていたごとく窺われることからして、いわゆる娼婦宿を経営しているものと一応見たに過ぎないものと推測されるが実質的に観察すれば娼婦の稼高について両者の間にその分配方法を定め特定の場所で継続的に売淫行為をなさしめることが約定されていたことが認められるのでその間に使用者、被使用者の関係の存在が肯定されないことはない。
(後略)